修復には時間が必要

 しかし、男性でも女性でも、突然症状が現れるということはまずありません。ストレスによる体調不調は、交通事故のように突然襲いかかるものではないのです。長い間のストレスの蓄積が、我慢の時間切れになって症状として現れるのです。金属疲労が溜まり、いきなり鉄の翼が折れる現象のようなものです。しかし、翼なら取り換えれば元通りになりますが、人間の心身は、長い時間をかけて悪くなっていった分、修復にも時間がかかります。ここのところが、診察の場でも患者さんになかなかご理解いただけないことがあります。

 それから、ストレスを感じているとき、周囲に打ち明けたくなる。これは誰にでもあります。

 すると、「根性と気合いが足りないんだ」「なぜ苦しいときこそ、頑張れないんだ!」といったような叱咤激励をされ、本人は自分に鞭打つように頑張ってしまい、さらに症状を悪化させてしまう場合もあります。

 現代人は、老いも若きも、心身のバランスを損なうほどのストレス要因に囲まれて生きています。ストレス要因は、ひとつとはかぎりません。IT機器などに対するテクノ・ストレスをはじめ、雇用や生活不安、職場や家庭での人間関係など、私たちを取り巻くストレス要因は無数にあります。これらが複雑にからみあって、複合的に心を汚染していたとしても、何の不思議もありません。世の中のニュースを見ても、心底ウンザリさせられるような事件ばかりが報じられる昨今、誰もが大なり小なり、ストレス過多な状況で暮らしているといってもいいでしょう。

目に見えない障害はなかなか気づきにくい

 問題は、身体がだるいとか、微熱が下がらないといった身体的な体調不良が続き、最寄りの病院に出かけて検査を受けても原因が特定できなかった場合に、そのまま放置していることなのです。こうした体調不良の原因がストレスにあるあると気がつくまでに、時間がかかってしまうことなのです。