ストレスの整理整頓に必要なこと

 前回(第7回)は、「認知」の話でした。心理学の分野でよく使われる言葉で、第1段階・第2段階とあり、第1段階はストレスの「把握」ということで、どんな些細なものでもストレッサーと感じるものを書き出していって、それに順番をつけてみるという、ストレスの整理整頓。

 ここで一番大事なことは、自分でやることでした。掃除の整理整頓でもそうですが、人にやってもらったら、またすぐ部屋が散らかってしまいます。苦労して片付けると、だんだん散らかす前に片づけるようになる。それを訓練というのですから、ストレスの認知にも訓練が必要です。誰かにやってもらっているうちは、ストレスの片づけが上手くならない。

 第1段階のストレスの書き出しと順番づけが終わったら、第2段階の「課題の設定」でした。自分のストレスの順位の高い方から解決に向けて、まず何からやらなくてはいけないのか、その課題を見出す。これには「冷静な判断力」というものが必要と書きました。「私のストレスはお金がないことだと解った。さあ今から借金して、欲しいもの全部買おう」。これでは冷静な判断ができてないことになる。いつまでに、何を削ってお金をいくら貯め、何は続けて、何を我慢するといった計画と、それを守る意思が必要です。それには周囲の力を借りるのだと書きました。

 そうやって整理整頓したものを、今後、人生のどこでどうやって生かして使っていくかの具体的な話を進める前に、今回は、ストレスの順位づけの参考になる「ものさし」をご紹介しましょう。

どんな出来事が
大きなストレスになるのか

 3ページ目に挙げた図版は、「ストレスチェックリスト」SRRSと呼ばれるものです。自分が体験したものに○をつけ、その合計が200点以上あると、あなたは、かなりのストレスを抱えて暮らしているということになります。

 日本語で「社会的再適応評定尺度」と、ややこしい名前がついているSRRSは、作られたのが1960年で時代が古いため、現代の感覚からすると疑問な点もありますが、いかにストレスが時代によって異なるか、変化してきたかを理解しながら使えば、役に立ちます。せっかく自分のストレスに順番づけをやったのですから、楽しんで眺めてみてください。