前回は、ストレスコントロールに使う3つの力を紹介しました。「社会資源」、「社会的支援」、「個人のネットワーク」の3つです。
例として、仕事がドンドン自分のところに溜まってしまってストレス状態が続いているときに、どこかで「えいっ!」と踏ん切りをつけて、上の3つの力を使って片付ける。まず、職場で自分が使う権利のあるものはすべて使う(社会的資源の最大利用)。次に、持っている権利をあますところなく行使する(社会的支援の選択)。そして、個人的に助けてくれそうな人は全員に頼る(個人のネットワークの活用)でした。
ここまで説明してきて、気がついたことがあります。「ストレスを早めにコントロールしましょう」と言っても、個人の自主性に任せていたら、おそらく誰もやってくれないということです。ちょうど生活習慣病が「生活習慣を変えましょう」と言っても、やってくれないのと同じです。どうしてか。それは、生活習慣病もストレスも、予防の行動に個人の「性格」が大きく関係しているからです。
うつの「予防」は難しい
例えば、「わたしって、うつ病になりやすいタイプかしら」と、ストレス予防に関心を持つ、その入り口までは来るのですが、いざストレスコントロールとなると実行まで至らない。生活習慣病の場合でも、運動、栄養、睡眠といった生活習慣が乱れると起こる病気だと知ってはいるけれど、どうしても歩かずにタクシーに乗ってしまうし、今夜もまた深酒になってしまったというように、わかっているけど、予防行動までに至らないのです。
「性格の問題だから、ストレスコントロールができないのは仕方ない」というのは、間違いです。ストレスコントロール法そのものは、性格に関係ありません。どんな人でも、どんな環境でも、やろうと思えばできるはずなのです。人間関係のストレスでも、先の3つの力を利用して、溜まらないうちに、あるいは溜まったときに、または、いつやるかを計画しておくとか、やり方は色々あります。
ここで「わかっているんですけどー、できないんです」になるのは、本人の性格がブレーキをかけているのであって、ストレスコントロール方法に問題があるわけではありません。