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 米アマゾン・ドット・コムは20年以上かけて世界最大の書籍販売業者に成長し、無名の本を必読書に押し上げることのできる比類ないショーウインドーを生み出した。

 最近では自ら書籍の出版も手掛けている。

 ベテラン作家のマーク・サリバン氏は2015年、第2次世界大戦を題材にした長編小説「Beneath a Scarlet Sky(緋《ひ》色の空の下で)」を出版しようとしたが、ニューヨークの出版社8社に拒絶された。その後アマゾンの出版部門に拾われ、数万ドルの前払い金を受け取った。

 2017年に出版され、会員向け先行ダウンロードプログラム「Amazon First Reads(アマゾン・ファースト・リーズ)」で取り上げられた。このサービスで米国の登録者700万人超に毎月送られる電子メールには、もっぱらアマゾン出版部門の書籍が並ぶ。

 サリバン氏は「30万回ダウンロードされた」と述べた。印刷版、電子版、オーディオ版の販売部数は計150万部を超えた。米紙USAトゥデーが算出した2018年のベストセラー上位100冊の56位に入った。

 アマゾンの出版部門は米国で15の書籍ブランドを展開し、スリラーからロマンスや翻訳書まであらゆる分野を扱っている。米国での出版点数は、書籍出版市場(年間160億ドル《約1兆7400億円》規模)に参入した09年には373点だったが、17年には1231点に増えている。

 アマゾンには、アマゾン・ファースト・リーズや電子書籍読み放題サービス「キンドル・アンリミテッド」など、他の出版社にとっては夢でしかない販売促進ツールがある。これにより、何度かキーボードをたたけばお勧め作品を読むことのできる推定1000万人以上の顧客に到達できるのだ。