アマゾンが開設したモデルハウスアマゾンが開設したモデルハウス Photo:REUTERS/AFLO

「アマゾンの家」をご存じだろうか。米アマゾン・ドット・コムが家を売るわけではなく、アマゾンが住宅内の“ソフト”部分を構築するスマートハウスのこと。音声AI(人工知能)アシスタントを中核に、家電や住宅設備を制御したりするなど便利に生活をサポートしてくれる家。しかし、この“家”は知らず知らずのうちにアマゾンに生活をデザインされてしまいそうな雰囲気もある。(流通ジャーナリスト 森山真二)

アマゾンの家は
究極の消費者の囲い込み

 売れるものは何でも売るとばかり、取り扱い商品を広げているアマゾンが着目したのは家だ。家といっても現在は住宅を売るというわけではなく、生活するのに便利な機能をこの家に集め、この機能をアピールしている格好なのである。

 そのうち住宅の販売も手掛けるようになる公算は大だが、生活の基盤である家での生活をサポートするという発想のアマゾンの家は、究極の消費者の囲い込みになるのではないかとみられている。

 米アマゾンは昨年、住宅建設会社のレナーと提携し、アマゾンの将来の住宅、暮らしに対する世界観が体験できるデモハウス「アマゾン・エクスペリエンスセンター」をカリフォルニア、フロリダ、ネバダなどに全米14ヵ所に開設した。

 家の中のあらゆる場所でWiFiネットワークが使え、アマゾンの音声AIである「アレクサ」を搭載した家庭用端末、アマゾンエコーを通じて家電、住宅設備などを制御し生活シーンをサポートするというのが売りだ。

「Reimagine everyday living」。「日々の生活を再考しよう」とでも訳すのだろうか、これがテーマだ。

 エクスペリエンスセンターは室内にあるすべての家電がアレクサ対応になっており、全室に音声対応のアマゾン・エコーが設置されている。