「米ヒューレット・パッカード(HP)向けプリンタの販売不振が、連結業績の収益性悪化を招いた最大の要因だ」と、キヤノン幹部は苦渋の表情を浮かべる。

 キヤノンは2009年12月期決算で、売上高3兆2000億円(前期比22%減)、営業利益1900億円(同61%減)と、2期連続の減収減益となる。とりわけ、HPにOEM(相手先ブランドによる生産)供給しているレーザープリンタの販売不振が著しい。推定では、HP向けレーザープリンタの売上高は前期比約27%減の約6800億円まで落ち込む見込みだ。加えて、在庫管理の不徹底が響き、収益性低下に歯止めがかからない。OEM取引にはありがちな問題ではあるが、HPから精緻な販売情報を入手することができずに、キヤノン側が多くの在庫を抱えてしまった。

 かねて、キヤノン経営陣のあいだでは、販売施策を講じる余地が少ない、HP向けOEM製品の低収益性を問題視する声が上がっていた。それでも、連結売上高の2割超を占める売り上げ規模を犠牲にしてまで、両社の関係性を見直す決断が下されることはなかった。むしろ、昨年9月に、高機能複合機における提携を結び、関係強化を図った経緯がある。

 ところが、今回の“失態”は両社の関係性を冷え込ませるには十分だった。世界的な法人需要の落ち込みによる販売不振のみならず、本来はキヤノンが得意としてきた在庫管理の不備まで露呈してしまったからだ。

 5月には、利益追求志向の強い御手洗冨士夫・キヤノン会長が日本経済団体連合会会長の職を解かれ、経営の“最前線”へ本格復帰する見込みだ。この体たらくが続くようでは、関係見直し論が再浮上する可能性もある。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)

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