デービット・オズボーン、ピーター・プラストリック著
(PHP研究所/2001年)
評者がかつて鳥取県知事を務めていた時の座右の書である。具体例を挙げて、行政改革の本質を説く。改革の視点は、役所でも国でもなく住民に置く。組織の論理にこだわる役所のDNAを変えるには、目的の明確化、結果に対する検証と説明責任、インセンティブ、権限の適切な配分、何よりミッションステートメントが重要になる。本書から県政改革に必要な多くのことを学んだ。
改革は、官民の組織に共通する。昨今の企業のデータ改ざんなどの不祥事の背景には、ミッションの歪みがあるのではないか。本書は、不祥事の防止策にとどまらず、企業のガバナンス改革を実践する上でも役立つことが多いはずだ。現在は絶版だが、こういう良書こそ復刊してほしいと願っている。
(早稲田大学公共経営大学院教授 片山善博)