ところが、20時50分に飛び立つはずのその飛行機は、滑走路で3時間近く待機させられた。

 なぜ、そんなに待たされたのか。事情通によれば、飛べないのが分かっていても、乗客を乗せて滑走路に出さえすれば、「航空会社の責任ではなく空港の責任になるため、遅延の記録もつかず、運賃の払い戻しもしなくてよくなるから」だそうだ。乗客のことなどお構いなしで、中国の航空会社をお勧めできない理由もそこにある。

 海口の会社は、創立15周年を迎えた。だが、海南省のIT企業として地元ではランキング3位に入っているものの、売上高や純利益で見ればまだ小さい会社だ。

 そんな小さな会社では、ルールを無視しても構わないという生き馬の目を抜くような中国企業相手にビジネスをするのは心もとない。この会社も、その親会社である日本の新華僑企業もお行儀がよすぎるのだ。日本企業と組むビジネスモデルの限界を感じてしまった。

中国でも顕著な人手不足
空港の広告も政府スローガンばかり

 さて、春節前は年会シーズンだけではなく、結婚式のシーズンでもある。年会の翌日、海口のレストランに入って夕食にしようと思っても、なかなか料理が出てこなかった。レストランの店主は申し訳なそうに事情を説明してくれた。

「コックを始め従業員も春節の家族団らんや結婚式に出席するために帰郷しているんです。働き手が足りないので、お料理が遅くなってしまいました」

 同席した中国人企業幹部は、「この頃になると、夜の飲み屋でも女の子を集められない」「中国も予算がないため、まるで政府機関の一部が閉鎖している今の米国みたいだな」と裏事情を教えてくれた。

 久しぶりに海南を訪問した感想を問われたので、私も素直に気づいたことを言った。

「以前、海南省の美蘭空港に降り立ったら、空港ビルのいたるところに不動産の広告が出されていて、その多さに圧倒された。それが今回はほとんどない。広告のほとんどが広告会社自身の宣伝か、政府のスローガンだ。そこからは、海南省の経済がいかに冷え込んでいるのかが透けて見える」