D社労士は続けて提案した。

「社員の出退勤記録をきちっとつけて、労働時間を把握しよう。それから休日と有給のカウントも管理しないといけないよ」
「わかった」

 D社労士がC社長に行った取り急ぎのアドバイスは下記の2点である。

(1)Aはインフルエンザが完治するまで会社を休ませること。
(2)社員の出退勤記録をつけ、労働時間と休日の管理をすること。

 アドバイスを受けたC社長は、B課長らに連れられて出勤してきたAに事情を説明し、再び車でアパートまで送らせた。そしてAに了承をとり、インフルエンザが完治するまで有給扱いとした。

 また、社員の労働時間、休日管理のためにパソコンによる出退勤記録をつけることにした。それと同時に、長時間勤務が常態化していることを社労士から問題視されたC社長は、全社員に対して、残業は22時までとし、社内泊は禁止する旨を伝えた。さらに休日出勤に関しては、最低週1日の法定休日は強制的に休むように決めた。詳細は出退勤記録のデータ等を参考にこれから検討していくことになるが、職場環境の改善にはしばらく時間がかかりそうだ。

インフルが完治し、復帰したAが
職場を見て驚いたこと

 8日間休みを取り、インフルエンザが完治したAが会社に戻ってくると、22時以降の残業が禁止となった会社では、皆の寝袋がなくなっていたことに驚いた。

 ところが、夜の酒盛りができないことに対してさびしがる社員が多いため、結局は業務終了後に会社近くのタワマンに住んでいるC社長宅へ行き、夜な夜な飲み会が繰り広げられることとなった。もちろんAもメンバーである。寝袋はそっくりC社長宅に移動していたのだ。

「これじゃ前と同じじゃん…」

 Aはため息をつきながらも、給料が高い会社を辞めるふん切りがつかないのであった。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため社名や個人名は全て仮名とし、一部に脚色を施しています。ご了承ください。

 インフルエンザのような感染症に罹患した時や長時間労働の問題については、以下の法律や厚労省のHP等を参考にしてほしい。

<参考>
労働安全衛生法第68条
事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。
労働契約法第5条
使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働基準法第32条
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
労働基準法第35条
使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。
セクハラの定義と具体例 厚生労働省HP