なぜ厚労省では突出して
不祥事や問題が多いのか

 次に、厚生労働省の問題について考えてみましょう。

 今回の統計不正の問題に限らず、広く政府の過去の不祥事や問題となった事案を振り返ってみると、全省庁の中で厚労省絡みが抜きん出て多いと言わざるを得ません。大きなものだけでも、グリーンピア事業など年金保険料の無駄遣い、年金保険料の納付記録漏れ(消えた年金)、年金個人情報の流出、働き方改革の際の不適切な労働時間調査、そして今回の統計不正と、枚挙に暇がありません。

 それでは、なぜ厚労省で突出して不祥事や問題が多いのでしょうか。ある意味で、今回の統計不正を巡る厚労省幹部の行動が、その根本的な原因を示しているのではないかと思います。

 厚労省は、統計不正の原因の究明のため、特別監察委員会を活用して「第三者委員会による中立的な調査」を行なったのですが、わずか1週間程度で調査を終え、委員会の報告書は厚労省の事務方が書き、しかも関係者に対する処分が訓告程度の非常に軽いものであったというのは論外です。

 しかしそれ以上に問題なのは、8人の幹部と11人の課長補佐以下に対するヒアリングは、すべて委員会の有識者ではなく厚労省の事務方のみによって行われ、また残り12人の幹部に対するヒアリングは委員会の有識者が行ったものの、そこにも厚労省の事務方が同席していたことです。しかも、有識者によるヒアリングに同席した事務方には、事務次官に次ぐ事務方ナンバー2の厚労審議官やナンバー3の官房長が同席していたのです。

 そもそも第三者委員会による調査というのは、組織の内部の関係者を排除して行うのが当たり前です。内部の関係者が関与したら、組織防衛の思惑などから不祥事に関する真相の解明が妨げられ、適切な処罰や改善策も実現しない可能性があるからです。まして、官房長は幹部やOBの人事を差配するポストなのだから、厚労審議官や官房長が同席している場で、職員が組織に不利なことを話せるはずがありません。