こうした現実を考えると、そろそろ政府は統計業務に関する抜本的な組織再編を真剣に考えるべきです。国が作成した統計のデータが信用できないようでは、とても先進国とは言えないのですから。

「組織は頭から腐る」を
地で行く厚労省への不安

 そして、第二の厚生労働省の問題については、普通は厚生労働省の解体が必要だとなるのですが、それ以上にまずやるべきは、厚労省の幹部の総取っ替えではないでしょうか。具体的には、厚労省の次官以下の幹部ポストはすべて他の省庁からの出向者に替えるといった荒療治が、必要だと思います。

 というのは、よく「魚は頭から腐る」ということわざをもじって「組織は頭から腐る」と言われますが、今の厚労省は完全に頭が腐った組織となっているからです。

 かつて消えた年金問題が大騒ぎだったとき、私の知り合いだった某省(ちなみに、私の出身の経産省ではありません)の局長が、「厚労省のやり方は明らかにおかしいし、厚労省のせいで自分も含め、霞が関全体が悪者のように見られるのは悔しい。なので、できることなら自分たち他省の幹部が大挙して厚労省に乗り込んで徹底的に改革したい」と言っていました。

 今回の第三者委員会への官房長などの対応を見ていると、今まさにこの幹部が言っていた通りのことをやるべきです。そうしないと、また同じことを繰り返すだけです。かつ、幹部の総取っ替えならば、厚労省解体よりもまだやれる可能性があるのではないでしょうか。

 4月に地方統一選、そして7月に参院選を控える中、野党は明確に国会審議の焦点をこの統計不正の問題に絞ってきているからこそ、官邸は本来、統計担当部署の問題と厚労省の問題の双方について、これくらい過激な対応をすべきではないでしょうか。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)