米中貿易交渉を巡り、合意がまとまる可能性がささやかれている。優位に立っているのはドナルド・トランプ米大統領だ。問題は、トランプ氏がその優位性を生かすか、それとも市場を盛り上げ、地元有権者の歓心を買うために面目を保つ程度の合意で手を打つかどうかだ。90日間の交渉期間が期限を迎えるまでに1カ月近くあるが、今のところ状況は芳しくない。トランプ氏と中国の劉鶴副首相(経済担当)が1月31日に協議した主なテーマは、中国による500万トンの大豆輸入拡大だった。具体的な期限は不明だ。米国の大豆農家は苦境にあり、いかなる救済措置も歓迎されるはずだ。だが数字には根拠が必要だ。米農務省(USDA)によると、中国は2017年に3200万トン近い大豆を米国から輸入した。大豆は米国最大の輸出農産物だ。18年1月〜10月の輸入量はわずか820万トンと、前年同期に比べ63%減少した。これを踏まえれば、手始めに500万トンの追加というのは、極めて小さな提案だ。