1987年に当時の旧ソ連との間で締結した中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄すると米国が1日に通告したことで、ロシアからのミサイル射程圏内に入る欧州諸国に動揺が広がっている。北大西洋条約機構(NATO)に加盟する米国の同盟国は、ロシアが同条約に違反したとの米国の主張を支持している。ただ軍拡競争を警戒する声も聞かれ、各国の反応にはばらつきがある。ロシア対策を強化する議論のきっかけになるとの期待感もある一方、新たな軍拡抑制策に集中したい意向を示す国もある。ドイツのハイコ・マース外相はルーマニアの首都ブカレストでの欧州連合(EU)外相会議で「ロシア側がINF条約に違反したことに留意する必要がある」とし、「それでも国際的な軍縮の仕組みを議題に復活させなければならない」と話した。