メディア企業が繰り広げる今回の戦いは見るべき価値があるだろう。時代遅れのメディア企業を震え上がらせ、大型再編に走らせたネットフリックスは米国内に6000万人、海外に8400万人の会員を擁する米国最大の動画ストリーミングプラットフォームだ。しかし資金力のある新たなライバル――中には見逃せないコンテンツを持つところもある――が背後に迫りつつある。ライバルが増え続ける中、各社の戦術は視聴行動や料金設定へ影響するだけにとどまらない。各社が多額の資金を投入したこの乱戦からどのような成功を得ようとしているのかも、その戦術から十分にうかがい知ることができる。ネットフリックスは最近、米国内で4度目の値上げを敢行した。Hulu(フールー)はテレビ番組のリアルタイム配信の値上げと基本プランの値下げを同時に実施した。アマゾンとアップルはオリジナル番組の制作に多額の資金を投じている。ディズニーは年内にストリーミングサービスを開始する予定で、そのディズニーとフォックスの事業買収をめぐって争い、敗北したコムキャストは2020年開始予定の広告付き無料ストリーミングサービスで反撃をもくろむ。一方、CBSのショータイムと、AT&T傘下のワーナーメディア子会社HBOもそれぞれストリーミング事業への投資を増やしている。