Photo by Toshiaki Usami

 今年も「節電」の夏がやって来る。オフィスの空調、照明の管理に、事業所の省エネもこれ以上しようがない──。

 多くの企業が頭を悩ませている問題に答えを提示してくれるのが、エナリスが提供している節電マネジメントサービスだ。

 まず、ピーク需要を基に決められる電気の基本料金を削るための「電力計画」を作り、システムを通して使用電力量を「見える化」し、節電目標を超えそうな場合にはメールなどで警報を発信する。しかも、これを企業の一拠点でなく、全国各地に分散するグループ全体で一括管理できるのが特徴だ。

 社長の池田元英は、東日本大震災後の節電需要について「昨年はピークカットがメインだったが、今年はより企業全体での効率的利用が重視されている」と分析する。東京電力が4月から企業向け料金を値上げしたこともあり、関心は極めて高い。

 と、ここまでだと、エナリスが震災後に注目された節電でのし上がった企業にも見えるが、そうではない。電力業界ではいくつものベンチャーが登場しては消えた。その中でエナリスが急成長する背景には、池田が震災前から取り組んできた「需給管理」の高度な蓄積がある。

短資会社で手がけた天候デリバの経験応用
「需要家PPS」を考案

 池田が、エネルギー分野に関心を持ったのは、自身の出自が大きく関係している。

「エネルギー分野に興味を持ったのは、祖父が明治時代から木炭や油での事業を起こしていたから。電力には元から並々ならぬ思いがあった」

 大学卒業後には銀行員、市長秘書などを経験したが、起業への思いは持ち続けていた。