「成績優秀な大学生が自宅やオフィスをお掃除します」。フロリダ大学の学生が創業した清掃サービス会社、スチューデント・メイド。創業から10年、“非常識なまでに徹底した、社員を大切にする経営”により、全米で大評判となった同社の採用面接には、今やミレニアル世代を中心にさまざまな世代が押し寄せるという――。この連載では、同社の創業者、クリステン・ハディードの著書『離職率75%、低賃金の仕事なのに才能ある若者が殺到する奇跡の会社』(クリステン・ハディード著/本荘修二監訳/矢羽野薫訳)の記事からその驚くべきストーリーやノウハウを紹介し、同書にインスパイアされた各界で活躍されている方のインタビューを掲載していきます。

大学生ミーガンとミズ・バイロンは親友になった

 今から数年前、1本の電話がかかってきた。高齢の母親 ― ミズ・バイロン ― のために清掃サービスを探しているが、年を取ってかなり気難しくなっており、物怖じしない人でなければ無理だろうと、その男性は説明した。

 まさにうってつけの学生がいた。ミーガンだ。とびきり陽気で、社交的で、思いやりにあふれている。小学校の教師を目指していて、数年前からスチューデント・メイドで働いていた。彼女が現れるとどんな部屋もパッと明るくなり、彼女のそばにいて笑顔にならない人はいなかった。

 ミーガンは月1回ほどのペースで、ミズ・バイロンの家を掃除した。学生が1人で現場に出ることは例外だったが、息子によると、ミズ・バイロンは一度に2人以上の他人が自宅に入ることに我慢できず、ミーガンは1人で大丈夫だと言った。まもなくミズ・バイロンの息子から、清掃の頻度を増やしてほしいと依頼があった。

 ミーガンのやることがすべて、良い方向に働いていた。家がピカピカになるだけでなく、ミズ・バイロンの気持ちが明るくなり、息子もミーガンの来る日が楽しみになっていた。

 清掃は2週間に1回に増えて、週1回になった。ミズ・バイロンはミーガンが大好きになり、2人の関係は双方向で深まった。ミーガンはミズ・バイロンの家に行く日が待ち遠しくなって、毎回、彼女の人生について話を聞いた。年齢はかなり離れていたが、ミーガンとミズ・バイロンは親しい友情を育んだ。

 ミーガンが通い始めて約1年が経ったころ、ミズ・バイロンの体調が急に悪化した。ホスピスに入ることになったので清掃サービスは解約したいと、連絡があった。ミーガンに事情を知らせると、彼女はひどく落ち込んだ。