資生堂が販売する数あるブランドの中で、エリクシールといえば中間ラインに相当する。ドラッグストアや家電量販店の売り場では、一部商品に「売り切れ」の札がかかるものもあるように、昨年から今年にかけて欠品が出るほど需要が殺到している。中国人観光客のお好みは「百貨店で売られているような高級路線」だと信じられていたが、必ずしもそうではなくなったようだ。

 中国の消費市場に目を移せば、そこにもひとつの変化が始まっている。流通小売業の動向に詳しい日本人駐在員の話は興味深い。

「上海では昨年夏以降、高級百貨店、高級飲食店の売り上げに陰りが見えています。その一方で、カジュアルな小売業態や商品はよく売れています。消費をより安価なものに置き換えていく傾向が強い。今後これが消費の本流となるのかどうかは見極めどころです」

 さて、冒頭で新法の施行について触れたが、「代購」への規制は一時的なものではなさそうだ。代購を一言でいうなら、「個人による仕入れ・転売」だが、これら“転売ヤー”の関税のすり抜けに中国当局は頭を痛めてきた。

 他方、日本のインバウンド市場は過去数年間にわたり、このグレーゾーンでのビジネスに大きく依存してきたわけだが、「今後は正規ルートの輸出に切り替える必要がある」(日本の某化粧品メーカー)。

 振り返れば昨秋、上海で輸入博覧会が開かれた。この博覧会が発したのは「中国は対外開放する」。だから正規ルートで納税せよ、というメッセージに他ならない。“代購だのみ”はこれにて手仕舞い、日本ブランドもこれからは“正規輸出”が勝負どころとなりそうだ。

(ジャーナリスト、アジア・ビズ・フォーラム主宰 姫田小夏)