日本産米は上海の家庭に浸透するだろうか日本産米は上海の家庭に浸透するだろうか Photo by Konatsu Himeda

“対中コメビジネス”がにわかに熱い。安倍晋三首相は、10月末に行われた日中首脳会談で、日本産食品の輸入規制への前向きな対応を求め、中国側から「制限措置の緩和の検討」を引き出した。11月末、中国の税関は新潟県産のコメの輸入を解禁した。

 11月5日には、上海で「第一回中国国際輸入博覧会」(以下、輸入博)が開催された。東京ドーム約5個分に匹敵する24万平米の会場に約3600社が集結、日本からは430を超える企業や団体が集まり、国として最大規模の出展となった。

 核となるジャパンパビリオン(運営は日本貿易振興機構)で行われた日本産米の試食には、多くのバイヤーや市民が集まった。実はこの日本産米こそが、日本が中国に送り込みたい“隠れた目玉商品”でもあった。

対中輸出は「攻めの農業」のシンボルだが

 なぜ今、コメなのか。背景には、毎年約8万トンの米の消費量が減少するという日本の厳しい現実がある。12月30日には環太平洋経済連携協定「TPP11」がいよいよ発効する。抜き差しならぬ状況の中で、巨大市場中国への輸出が「攻めの農業」のシンボルに掲げられているのだ。

 隣国の中国に目を向ければ、そこには年間約1億5000万トンが消費されるというコメの市場がある。2007年、日本産米の対中輸出が本格的に始まったが、第1便として中国に送り込まれたのは、新潟産コシヒカリ、宮城産ひとめぼれの2ブランド併せて24トンだった。この年の輸出量は72トンだったが、その後は2008年50トン、2009年30トン、2010年96トンと推移した。