北朝鮮が韓国に
“対日共闘”を呼びかけ
2月4日、北朝鮮が運営するサイト“わが民族同士”は、韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題を取り上げ、日本政府の対応を非難した。その上で北朝鮮は、韓国に“対日共闘”を呼びかけた。
北朝鮮の真意は、韓国の窮状に付け込むことのように見える。北朝鮮は韓国の反日世論を揺さぶり、対日共闘を組むことで自国の立場を有利にしたいと考えているのだろう。
見方を変えれば、北朝鮮に足元を見られるほど韓国の情勢悪化は深刻ともいえる。
経済面では、半導体の輸出によって経済成長を支えてきたサムスン電子の業績が急激に悪化し始めた。外交面でも孤立感が深まっている。中国は北朝鮮の庇護を強めている。北朝鮮としては中国との関係を強化しつつ、米国との交渉を進めればよい。加えて、米国のトランプ大統領にとって北朝鮮政策は点数稼ぎの手段だ。韓国国内では文大統領の支持派と保守派の対立が激化している。
文大統領としてはわが国への非難を強め、北朝鮮との関係強化を材料にこの窮状を脱することを考えているだろう。北朝鮮はうまくそれに付け入った。
ただ、この状況が続くと、韓国は極東地域にとどまらず国際社会の中で孤立を深めることが懸念される。それは、北朝鮮をさらに勢いづかせる恐れがある。
勢い増す
北朝鮮の体制維持策
北朝鮮は、体制の維持と強化のために米国などから有利な条件を引き出そうとしている。その勢いは増しているように見える。背景には、米国のトランプ大統領が、外交面での成果を誇示し有権者からの支持獲得(点数稼ぎ)を重視していることがある。