もっとも、全体的に見れば、イオンFSにAFSコーポレーションがぶら下がっているため、「事業会社傘下の銀行持ち株会社」という関係性は「従前と構造的には同じ」(金融庁幹部)だ。

 にもかかわらず、新たに銀行持ち株会社を間に“かませた”理由は何か。狙いは、大きく二つある。

本命は自己資本比率の維持

 まず一つ目は、イオンFSが銀行持ち株会社から事業会社に移行することで、銀行法の制約が一部外れること。これにより、銀行に設けられているIT企業への出資制限などが緩和される。

 二つ目は、銀行持ち株会社からイオンクレジットを分離することで、「銀行の自己資本比率の国際基準である8%を維持する」(関係者)ことだ。本命は、こちらだ。

 現在のイオンFSの自己資本比率は2017年度決算で8.33%とぎりぎりの水準。さらに、22年から導入される国際金融規制のバーゼル3によって、イオンクレジットの資産が自己資本比率の分母を増やし、自己資本比率を悪化させる可能性が高まっていたのだ。

 しかも、「親会社のイオンは増資に後ろ向き」(同)。そこで、イオンクレジットを事業会社側に移管することで、自己資本比率8%を維持しようというわけだ。

 つまり、自己資本比率を維持しながら、事業会社となるイオンFSは新規事業が行いやすくなる。これが今回の再編スキームの狙いで、本業が厳しく、新規事業をやりたい地銀がこのスキームに熱い視線を送っている理由だ。

 今後、他業界の事業会社と手を組む形式など、地銀界も中間持ち株会社の設立を視野に入れるかもしれない。だが、階層が増えれば意思決定には困難が伴う。そう甘い話ばかりではないだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 田上貴大)