1月29日には、政権が同様に力を入れてきた「働き方改革」関連法案の審議で、首相は、国会で裁量労働制は一般の労働者より労働時間が短くなるとの答弁を行った。

 だが、その後、首相が根拠にした裁量労働制の調査データは「不適切調査」で作り上げられたものだったことがわかる。

 毎月勤労統計のサンプル一部入れ替えとデータの補正が始まったのもこの頃だ。

 そして首相が「3選」を目指した自民党総裁選。対抗馬だった石破茂・元幹事長によるアベノミクス批判が強まる中、総裁選の1ヵ月前の8月7日に、6月の賃金指数が「3.3%」に跳ね上がった。

 外部の識者らによる調査で、「意図的な賃金かさ上げ」や「組織的関与」はない、とされたが、その後、厚労省幹部が聞き取りを行い、調査報告の原案を厚労省が作るなどの「お手盛り」が発覚、調査はやり直しになった。

 そして今、「戦後最長の景気」の記事が踊る。

 アベノミクスの失敗は、政府統計を操作してごまかさなければならないところまできてしまったと言った方がよいだろう。

 だが問題は、賃金が上がらず、企業や富裕層が豊かになれば滴が落ちるように、普通の人々の所得が増えるという「トリクルダウン」が起きていないことだけにあるのではない。

 日本経済全体が、奈落の底に落ちかねない「2つの崖」に向かって突き進んでいる状況なのだ。