「道順指定不要」の意思カードを

 そう考えると、道順を聞いてくる運転手さんにモヤモヤしているのか、道順についてクレームをつける客にモヤモヤしているのか、どちらなんだろうかと、わからなくなってくる。

 任せたい派、道順を指定したい派がいるならば、スーパーの「レジ袋不要」のように、無言で「道順指定不要」の意思カードを出せるようにしておくのも手だとは思う。そうすれば、余計なコミュニケーションが省ける。任せたい派にとっては、ストレスを軽減することができるだろう。

道順を聞いてくるタクシー運転手はアリかナシか本連載の著者・宮崎智之さんの最新作『モヤモヤするあの人―常識と非常識のあいだ―』(幻冬舎文庫)が好評発売中です

 もしくは、ロンドンの「ブラックキャブ」ではないが、運転手さんの知識や技量によってタクシーの種類をわけるのも手だ。どうしても最短時間で行きたい客は、多少お金を多めに払っても、信頼できる運転手さんのタクシーに乗りたいと思う需要があるかもしれない。うるさ型の客が、そういったタクシーを選ぶようになれば、クレームも減るのではないか(全国個人タクシー協会では、良質なタクシーに星をつけるマスターズ制度を導入している)。

 クレームをつける客の気持ちも少しわかるのが、確かに明らかに知識不足の運転手さんも、なかにはいる。東京の道についてほとんど知識がない著者でも、「以前に乗った運転手さんは、もっと近くて早い道を使ってくれたのに」と損した気分になることはある(実際にお金も損している)。

 そのほかにも、密室状態で移動する交通手段であるぶん、さまざまなモヤモヤがタクシーには存在する。運転手さんも客もフラストレーションを溜めない、よい方法やマナーをみんなで議論していきたい。「タクシーのこんなところにモヤモヤする!」という人がいたら、ぜひ、ツイッターなどでつぶやいていただきたいと思う。または、筆者のTwitterアカウントにご連絡いただくのでもいい。すべてには返信できないが、必ず目を通したい。

(フリーライター 宮崎智之)