マンション羅針盤 管理&売買#10Photo:Yoshiyoshi Hirokawa/gettyimages

マンション管理組合理事や管理会社を困らせる、モンスターカスタマーとでもいうべき区分所有者、通称「小生さん」。管理組合理事はこうしたやっかいな区分所有者とどう付き合うべきなのか?連載『マンション羅針盤』の第10回は、管理士および管理会社社員として「対小生さんの歴戦」経験が豊富な著者が、実践的な対策を解説する。(フルニール代表 中村優介)

どのマンションにもよくいるモンスター「小生さん」
管理組合はどのように付き合うべきか

 管理組合理事会や管理会社のやることに逐一意見書を出す。意に沿った対応をして貰えないと管理会社にクレームの電話を入れたり、管理事務室に怒鳴り込んで管理員を長時間拘束する。挙げ句の果てには、理事長宅に押しかけて家族に詰め寄ったりする――。マンションを問わず一定の確率で、このタイプの区分所有者が出現します。

 彼らの多くは視野が狭く独善的で、上から目線のコミュニケーションパターンを持っています。区分所有法や規約について畢竟独自の解釈に基づいた理屈を捏ね、自分が暇であるがゆえに粘着質である、という共通点があります。そして、なぜか理事会や管理会社に出してくる意見書・質問書での一人称が「小生」であることが多いのです。いわゆるモンスター区分所有者ですが、私はそんな彼らに親しみを込めて「小生さん」と呼ぶことにしています。

 もちろん、一人称が小生のご年配の男性が多いというだけで、現役世代であっても男女を問わずこういった「度を超えてズレている人」というのは存在しています。体感としてはエリアにもよりますがおおよそ100戸に1人くらいの割合で出現します。

 このような小生さんを野放しにしていると大変なことになります。多くの人は小生さんにかまっていられるほど暇を持て余しているわけではないからです。相手をせざるを得ない理事や管理員は嫌気がさして成り手がいなくなったり、コンプライアンス意識が高まっている近年では管理会社が契約更新を辞退して撤退してしまったりするたことも珍しくありません。

 ある意味、マンション管理組合は社会の縮図でもあり、小生さんは現代社会の抱える病理の象徴ともいえるかもしれません。いまやマンション管理をする上で小生さんを「いなす」技術は、区分所有法や管理規約を理解することと同じくらい重要な必須スキルであると私は考えています。では、具体的にはどうしたらいいのでしょうか。実は小生さんを黙らせる魔法の4ワードがあります。次ページから過去の実戦経験に裏付けられた、具体的対処法を見ていきましょう。