竹森俊平著
(東洋経済新報社/2002年)
新年早々、経済学者の竹森俊平氏は、経済財政諮問会議(内閣府)の新委員就任が伝えられた。彼を一躍有名にしたのが本書である。
2002年、小泉純一郎政権下の構造改革路線への支持が強力だった中で、構造改革の必要性を認めつつ安易な創造的破壊論を批判し、金融緩和の重要性を主張した意義は大きい。
本書の価値は、そこに止まらない。書名に「甦る」とある通り、大きな経済停滞とそれに伴う経済論戦の構造には、時代、洋の東西を問わない共通点がある。経済学の巨人たちの主張に適宜解説を加え、明らかにされる論戦の構造は、19年現在にも連なるものばかり。構造改革と金融緩和を重視する現政権で、竹森氏が建設的な議論をリードすることを強く期待したい。
(明治大学政治経済学部准教授 飯田泰之)