北朝鮮の金正恩氏写真:ユニフォトプレス

 【ソウル】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、汚職撲滅の一環として、私腹を肥やしたエリート層に対する粛正を断行した。50〜70人が追放か、投獄・処刑されたとみられている。

 背景には、国際社会からの制裁措置で打撃を受けている国家財政を潤すほか、米韓との雪解けを進める正恩氏の方針に反対する政権内タカ派を排除する狙いがある。

 今回の政治的な粛正では、自らの権威を利用して不正蓄財した従来の強硬派が標的となっているという。脱北者が創設したシンクタンク(ソウル)、北朝鮮戦略センターがまとめた報告書やアナリストらの分析で明らかになった。

 正恩氏は1月1日の演説で、汚職撲滅を宣言。党や政府組織は「深刻なものから軽度のものまで、権力乱用や官僚主義、汚職の根絶に向けた闘争を加速させるべき」と表明した。韓国の元情報当局者らは、北朝鮮の指導者が汚職撲滅を掲げるのは異例だと話す。

 北朝鮮戦略センターの報告書の執筆者らによると、昨年暮れには、金一族の身辺警護を担当する護衛司令部の幹部らが、数万ドルを不正蓄財していた疑いで粛正された。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は粛正が事実かどうか確認できなかった。だが、韓国のアナリストは、報告書の内容は正しいと確信していると述べている。報告書の執筆者らは、北朝鮮の元当局者14人、現当局者6人、および現在は国外で暮らしている北朝鮮人5人から聞き取り調査を行ったとしている。