3.11の影響か、生活保護費の過酷な「召し上げ」が福島市で頻発するナゾ
福島市では近年、「不適切では」と疑念される生活保護の運用が相次いでいる。東日本大震災以降、福島の生活保護を巡るトレンドが変わるなかで、どんな対応が必要か(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「わざとではないのに……」
収入認定で苦しい生活を強いられる

 福島市では近年、「不適切では」と疑念される生活保護の運用が相次いでいる。特に深刻なのは、生活保護費の収入認定(召し上げ)に関するものだ。「収入認定」を一言で説明すると、保護費を受け取りすぎないための精算である。

 生活保護で暮らすということは、言い方を変えれば、国が定めた「健康で文化的な最低限度」を上回る生活はできないということだ。現在の生活保護費で「健康で文化的」な生活が可能かどうかはさておき、保護費以外の収入がある場合は収入認定されるため、1ヵ月の生活費は増えない。老齢基礎年金が月あたり3万円ある低年金高齢者の場合、保護費は3万円差し引かれる。なお賃金の場合は、「働き損」にならないように、若干は手元に残ることとなっている。

 いわゆる「不正受給」の場合は、より厳しいルールが適用される。10万円を受け取りすぎていた場合、最大で1.4倍の14万を返還することになる。その際は「不正」に対するペナルティとはいえ、生活が「最低限度」を下回ることになる。

 近年の福島市では、不正ではないにもかかわらず、あるいは本人の不正ではないにもかかわらず、過酷な収入認定が行われて「最低限度」を下回る生活を強いられる事例、また収入認定すべきではないものを収入認定した事例が、複数確認されている。

 本連載では数回にわたって、2014年に努力によって給付型奨学金を獲得した女子高校生が、その奨学金を収入認定された事例と彼女のその後について紹介してきた。このような事例は、氷山のほんの一角だったようだ。

 2018年、法律家・研究者・支援者などのグループが、福島市と周辺の生活保護の運用について調査し、数多くの問題事例を把握した。数の上で目立つのは、収入認定に関するものだ。より深刻なのは、受け取り過ぎた保護費の精算の実態だ。