「日本オリンピック委員会(JOC)が『選任時70歳未満』としている役員の定年規定に一部除外を明文化する方針であることが18日、分かった。国際オリンピック委員会(IOC)委員を務める71歳の竹田恒和会長の続投を念頭にしたもの。3月の常務理事会、理事会を経て正式に決める」
共同通信の配信を18日、新聞各紙が伝えた。記事はこう続く。
「2020年東京五輪招致を巡り、フランス司法当局から贈賄容疑で正式捜査を開始された竹田会長には退任論が浮上している。JOCの役員改選は6、7月の評議員会と理事会で行われる。五輪の根本原則を定めた五輪憲章では、IOC委員は国内オリンピック委員会の理事であることを求めている。過去にIOC委員だった猪谷千春氏らは70歳を超えても例外的に役員に選任されてきたが、平岡英介専務理事は『ガバナンス(組織統治)のために(明記)した方がいい』と述べた。平岡氏は『竹田体制で東京五輪を迎えるべきだという意見は非常に強い』と続投を支持する姿勢を示した。〔共同〕」
贈賄の疑惑があっても
「竹田体制」支持が強い不思議
これを読んで、不思議に思った読者が多いのではないか。
竹田会長は、フランス司法当局から捜査を受け、東京五輪招致の際の贈賄に関する疑惑を向けられている。IOC(国際オリンピック委員会)はまだ静観の構えだが、正式に告訴となればIOC委員解任は必至とみられている。そのような状況にあってなぜ「竹田体制」を支持する声が「非常に強い」のか? 「非常に強い」のは総意なのか? それとも一部有力者の意向なのか?
本当にJOCの総意なら、日本のスポーツ人たちは「スポーツマンシップこそスポーツに打ち込む大切な意義だ」というアイデンティティを「捨てた」と宣言するに等しい。
JOCにはいま、会長のほか副会長が3名いる。1人は、上の報道にある平岡英介氏で、専務理事を兼任している。平岡氏は(公社)日本ボート協会理事。滑稽なのは、平岡専務理事もいま70歳。規定が明文化されれば、平岡氏自身もその職にとどまることができる。
齋藤泰雄副会長は元特命全権フランス国駐箚(ちゅうさつ)特命全権大使、71歳。本来なら再選はない。やはり恩恵の対象だ。そして、自由民主党所属の参院議員で(公財)日本スケート連盟会長の橋本聖子氏、54歳。つまり、3人のうち2人が70歳を超えている。