日本ボクシング連盟の山根会長が辞任をした。強面で裏社会とつながり、業界を制圧する、いわゆる「ドン」である。平成の世にあって、なぜ彼らがまだ活躍できているのか?その理由を読み解くカギは「五輪」と「巨大利権」である。(ノンフィクションライター 窪田順生)

ボクシング界のドンがついに辞任
ドンの老害化はなぜ起きる?

引退した山根明氏
山根氏はもちろん、日大の田中理事長や森喜朗氏など、なぜか五輪周辺に群がる「ドン」たちは少なくない 写真:日刊現代/アフロ

 日本ボクシング連盟の関係者333人から、さまざま不正行為を告発され、村田諒太選手から「悪しき古き人間」なんて嫌味を言われていた「アマチュアボクシング界のドン」こと山根明終身会長が、ついに辞任を表明した。

 反社会勢力との関係も明らかになっても頑なに辞任を拒否していたが、28歳年下の奥さんから「楽になってください」と言葉をかけられたことで苦渋の決断を下したという。

 携帯の着信音はゴットファーザー、サングランスにオールバックという“ソッチ系”の出で立ちに加えて、耳を疑うような問題発言を繰り返してきた御歳78歳の姿に、ぶっちゃけ「老害」という言葉が頭をよぎった方も少なくないだろう。

 ただ、この方がアマチュアボクシング界に多大な貢献をしてきたのも事実である。なぜ誰もが認める功労者が、周囲から腫れ物扱いされる「老害」となってしまったのか。

 この問題については、メディアや有識者はこれまでの以下のような指摘をしてきた。

「レスリング協会や日大アメフト部にも通じる上意下達の体育会カルチャーが原因では」
「本人も悪いが、増長させた取り巻きも同罪」
「自分で“カリスマ山根”などと言ってしまう、自己愛の強さが異常だ」

 いずれも「ドンの老害化」を考えるうえで、きわめて重要な視点だと思う一方で、個人的にはもうひとつ大事なポイントが抜けている気がする。