米にある合法マリファナの店舗
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――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 マリフアナ(大麻)業界は、カナダが米国をリードしている珍しい業界だ。米国は連邦レベルでのマリフアナ禁止令が長く続くほど、カナダに追いつくのは難しくなるだろう。

 米国の大麻企業は潤沢な資金を持つカナダの競合他社の手にわたりつつある。カナダ企業が2018年に買収した米企業は57社と、前年比で2倍以上に増えた。カナダ勢は資金力を一助に「カンナビジオール(CBD)」市場を支配しつつある。大麻草由来だが向精神性のない有効成分であるCBDを含有する製品には、コカ・コーラなど世界最大手の消費財メーカーも注目している。時価総額が70億米ドル(約7765億円)を超えるカナダのティルレイは先週、大麻食品会社マニトバ・ハーベストを買収した。

 米国の大麻企業にとって大きな課題は資本へのアクセスだ。NYSEやナスダックといった証券取引所は、米国で大麻を栽培している企業の上場を認めていない。連邦レベルでマリフアナが違法だからだ。一方、昨年大麻を合法化したカナダの企業は、厚みある米国の資本市場を利用するのが認められている。クロノス・グループやキャノピー・グロースといったカナダ企業は、急成長中の大麻ビジネスに食い込みたい米国のたばこ会社アルトリアや酒類大手コンステレーションからの大型投資という恩恵も受けている。

 シリコンバレーが世界のハイテク中心地だとすれば、トロントはマリフアナの中心地として浮上しつつある。トロント証券取引所では大麻企業8社、下位の取引所では41社が1月末までに上場した。投資銀行や法律事務所なども今や、大麻会社の新規株式公開(IPO)や買収・合併案件を扱う専門知識を習得している。

 それに比べて米国の大麻業界は分散しており、コストも高い。企業は州をまたいだ大麻輸送ができないため、複数の生産施設を抱えて極めて非効率になっているケースもある。また、連邦法はマリフアナのような規制物質を販売する企業が賃料や賃金といった費用を税控除することを禁止しているため、大麻専門の法律事務所ホーバンによると、一部の大麻会社の実効税率は85%に上る。

 米国の大麻会社は、輸出が合法化されるまでは貴重な医療用大麻の国際市場にも参入できない。カナダ勢はこのチャンスを見逃していない。大麻業界のニュースを扱う「グリーン・マーケット・リポート」の執筆に携わるデブラ・ボーチャード氏は「彼らは米国が逃している国際契約を何年にもわたり囲い込んでいる」と述べた。例えばティルレイは、ドイツやポルトガル、ニュージーランドなどの医薬品販売会社との契約を鋭意進めている。

 たとえ連邦レベルでマリフアナが解禁されたとしても、米国が国の基準を策定し、カナダに匹敵するサプライチェーンを構築するには時間がかかるだろう。しかも、米国の大麻企業が多くの資金を確保できるころには、最高の買収ターゲットがほぼ消えているか、評価額がさらに上昇している可能性もある。ドラッグに対するカナダの「ビッグプッシュ」に追いつく試みは高くつきそうだ。

(The Wall Street Journal/Carol Ryan)