2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』が刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容を、抜粋・再構成して特別公開する。
優しい人ほど陥る罠
「あれ、今なんか変だったな」
職場で、そんな違和感を持つときはありませんか?
会議の場で、数人がすっきりしない顔をしている。
理解を尋ねても、明確な返事がない。
今の会話、ちょっと噛み合わなかった気がする。
笑顔は見せるものの、部下の本音がわからない。
同じチームなんだから、もやっとするなら聞けばいい?
いや、
「わかっているのが当たり前」
「堂々としているのが当たり前」
という圧に押されて、素直な気持ちほど表現できない。
ハラスメントへの意識も高まる今、優しい人こそ、この「なんか変」の沼にはまりがちです。
管理職を悩ませる「二大お仕事言説」
みんな疲れている。でも、職場を良くしろと管理職には重圧がかかる。
一体、何をどう変えるべきなのか?
ただでさえ忙しいし、あれもこれも現状を違う・ダメなのだと否定されて、さらなる努力だ、「パワー!」と急き立てられても正直しんどい。
それだけではありません。事態はますます複雑で、昨今では、「あなたはあなたのままでいい」「頑張らなくていい」「弱くていい」そんな言説まで流布してきています。
この相容れない、「二大お仕事言説」――変えろ・変われ言説とゆっくり休もう言説と――が、私たちの頼みの綱になる、というより、両端から手綱を引っ張られた状態で、これまた疲労を増幅させていないでしょうか。
これ以上、理不尽に疲れないために
そこで着目したいのが、違和感です。
違和感は悪いものと思われがちですが、私はそうとは限らないととらえています。
違和感は、何も特別な準備をせずとも、現場から受け取れる貴重なサイン。
相手から思ったとおりの反応が返ってこない。自分の意見が思うように伝わらない。
その気づきこそが、相手と自分との「当たり前」のずれのサインあり、解決すべき問題の根っこへの近道です。
それを「仕方ないね」で済ませてわだかまりを残したまま引きずって効率を落とすのではなく、それでも私たちは、ビジネスを前に進めていかなければなりません。
そもそも、同じ会社に入ったということは、少なくとも現時点では「ここで働きたい」と思った者同士だということは確かなはず。
その前提に立つと、違和感を察知した瞬間にこそ、組織が変わる兆しが見えていると思えてこないでしょうか?
変われ変われと言われても何を変えたらいいのか、の答えがここにありそうです。
空気を読んだりあうんの呼吸でどうにかしようと悩み苦しむ前に、まずはここに着目してみてください。

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太