「安全運航を徹底し、信頼回復に努めたい」――。昨年秋以降、パイロットの飲酒問題が相次ぐ中、ANAホールディングスと日本航空(JAL)の両首脳は、報道陣の前に出るたび、謝罪に追われている。
企業倫理を揺るがす事態に対して「顧客離れ」が起きても不思議ではないが、現状、そうした気配は見られない。日本人の出張・レジャー需要に加えてインバウンド需要も旺盛だからだ。恵まれた外部環境と、大手2社で航空市場の大半を占めることを背景に、搭乗率は国内・国際線共に高水準で推移し、業績は絶好調である。
これを受けてJALは2月末に中期経営計画を更新し、営業利益1800億円の達成を当初予定の2020年度から19年度に1年前倒しすると宣言。ANAは数値の更新こそないものの、引き続き22年度に過去最高益となる営業利益2200億円を目指している。