飛行機写真はイメージです Photo:PIXTA

 米ボーイングの飛行機が主流だった日本の空が転機を迎えるのが2019年の航空業界である。ANAホールディングス、日本航空(JAL)の2社が相次いで仏エアバス機を導入するのだ。

 ANAはエアバス機の中でも最大サイズのA380を3機購入。19年5月から順次ハワイ路線に就航する。外観には海亀のイラストを描き、ファーストからエコノミーまで総計520席を用意。幅広いクラス設定で老若男女をターゲットにする。

 ハワイ路線は長らくJALの牙城だった。ANAのシェアは20%程度(首都圏発着供給量)で、後手に回っている。A380を武器に戦線を変えようと鼻息は荒い。

 一方、JALは主力機であるボーイング777機の後継機として、エアバスA350機(300席強)を導入し、19年夏ごろから国内主要路線に、その後、五輪を経て国際主要路線に置き換えていく。

 JALがエアバス機を導入するのは実質的に初となる。「かつてエアバス機の性能はボーイング機の足元にも及ばなかったが、今は劇的に良くなった」(赤坂祐二JAL社長)のが決断の理由だ。

 機体の内装にも力が入る。JALは黒の革張りシートに象徴される上質な空間を売りにしているが、A350ではデザインを刷新。B777とは一味違った乗り心地を提供しようと目下、開発が進む。

 後発路線で供給能力を高めて攻めるANA、基幹路線でサービスを強化し守りを固めるJAL。どちらも新型機だけに日々の運航を着実にこなすことが最大のミッションだ。現場では新しいマニュアルの作成やスタッフの訓練が急ピッチで行われている。