多くの経営者は、どうすれば強い財務体質の会社になれるかと悩んでいる。財務体質を強化するには、自己資本を充実させる必要があるが、増資をしたり収益を上げるのは容易ではない。しかし、増資も事業拡大もしないで、自己資本を高める方法があるという。それは「銀行取引」を見直すことだ。銀行から押しつけられている悪条件を解消するだけで、財務体質を改善して自己資本を高めることができるのだ。『社長!カネ回りをよくしたければ銀行の言いなりはやめなさい』の著者に、銀行取引と財務強化のポイントを聞く。
銀行の吸収合併で
融資姿勢がガラリと変わる
これから、地方銀行の合併や再編がどんどん進むといわれています。実際問題、地方銀行の数は100を超えており、過剰です。さらに信用金庫・信用組合があり、政府系金融機関やメガバンクもあります。
その中でも、最も多いのが地方銀行です。
これまでにも銀行の吸収や合併はありましたが、その際、さまざまな悲劇があったことを忘れてはいけません。
東北中部で不動産事業を営む津川興産(仮名)では、メイン銀行から、同社の財務状況では通常ありえないくらいの融資を受けていました。メイン銀行はかつての相互銀行、いわゆる第二地方銀行です。
津川興産は不動産を購入して販売したり貸したりする事業なので、調達資金が大きくなります。そこに目をつけて、格付け(スコアリング)が低くても、資金を貸していたのが、メイン銀行だったのです。今どきの環境では融資先の新規開拓は厳しく、数億円単位で融資ができる津川興産は、同行にとって、ありがたい存在でした。