「支え合い交通サービス」向けにマツダ独自開発した、配車システム 画像提供:マツダ 拡大画像表示

 3種類の移動を想定して、マツダでは配車システムの設計に入った。管理者サイト、ドライバーアプリ、そして利用者向けのアプリだ。

 管理者サイトは、一般的なパソコン操作ができる人なら比較的簡単に扱えるようにした。

 まず、停留所を設定し、新規登録でGoogleマップ上ににピンを立てる。それらの停留所をつなぐことで、距離や移動時間を算出できる。その上で、運航の日程を決める。予約の人数が乗車定員を超えた場合、または運航に遅延がある場合など、管理者サイトの画面上にアラートサインがつくなど、直感的に分かるように工夫した。

 オンデマンドの場合、1日フリー便として設定することで管理が可能だ。

 また、自家用有償旅客運送の場合、月次集計などの運航実績を地域運輸局へ書類で提出することが義務付けられているが、そうしたデータの出力も簡単にできる。

 ベータ版ができてから、2018年9~11月、現地で仮運用してみると、中山間地域では通信状況が悪いことが分かり、15秒に一回の割合でクラウドに上げていた情報を、通信がオフラインでも車載器にデータを蓄積する方法を採用するなど、ひとつずつ課題を解決していった。

 こうした地域住民との対話、それに基づく技術開発を経て、2018年12月14日から実証試験が開始された。車両はマツダからリースで提供している。第一次の実証期間は、リース契約の関係で2019年9月24日までに設定した。

KPIを設定しない
出口戦略は現実解を見定めながら

 さて、こうしたマツダの取り組み。

「マネタイズ(収益性のある事業化)については?」と思う読者の方もはずだ。

 筆者も当然、そうした質問をマツダ本社関係者らにした。

 社会貢献とはいえ、企業活動である。KPI(キー・パフォーマンス・インディケーター)はどう設定しているのだろうか?

マツダの広島本社 Photo by Kenji Momota

 これについて、マツダは「地域課題の解決が第一。収支については、地域が独立して運用できることを優先して考えています。KPIは特に気にしないでよいと、弊社の上層部から言われています」。

 マツダが始めた、人と地域をつなく新たなる取り組み。

 今春、今夏、そして今秋と、季節が変わる度に三次の皆さんに会いに行ってみようと思う。

(ジャーナリスト 桃田健史)