数カ月もこの話題について見て見ぬふりをしていた欧州中央銀行(ECB)が、ようやく長期資金供給オペの再開を発表した。これで鈍化するユーロ圏経済が活性化することはないが、銀行業界への打撃は和らげられそうだ。ECBは7日、ターゲットLTRO(TLTRO、対象を絞った長期資金供給オペ)の第3弾を発表した。企業や世帯に融資するユーロ圏の銀行を対象に、期間2年の低利融資を提供する内容だ。ECBは世界経済の鈍化を示す明確な合図を踏まえ、世界の主要中銀で初めて政策緩和にかじを切った。ただ投資家は、新たな資金供給策がユーロ圏経済を支援すると期待しない方が良さそうだ。流動性となると、中銀は「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」。2008年の金融危機後にECBは3兆ユーロ(現在のレートで約375兆円)を銀行に注入したが、融資が急増することはなかった。中銀が同じ対策を講じた他国でも同様だった。