最初に驚いたのが、リカが始業時刻になっても仕事もせず、自席で朝ごはんをゆっくりと食べていることだった。Y営業所では、事務職である女性社員の始業は営業職の男性より1時間早い。その間に、営業所の清掃、メール処理、前日の小口現金の確認・伝票処理などを行うことになっている。

 今日子は異動初日に、リカとパートの小川に挨拶を済ませると、早速掃除を始めた。すると、今日子と小川が机を拭いている横で、リカは自分の席にドカッと腰を下ろすと、ハンバーガーとコーヒーを取り出して食べ始めたのである。

 今日子は驚いたが、小川は平然と机を拭いている。

「もしかして、リカさんは始業時刻が違うのかな…?」

 異動初日で勝手が分からない今日子は疑問に思いつつも、掃除を続けた。

 1週間も経つと、今日子にも様子が分かってきた。小川が言うには、リカは掃除だけでなく、仕事も嫌いで、所長や男性社員の前では働いているふりをするものの、裏では小川に押し付けてサボっているとのことだった。リカは今日子と同い年だが、自分の方が2年先輩なので、今日子にも仕事を押し付けるようになった。リカは今日子と小川に命じた。

「電話は今日子さんと小川さんで対応してください。私は忙しいので」

 しかし、営業の男性が外出先から問い合わせてくると、今日子から受話器を奪い、こう猫なで声で対応した。

「すみませーん、今日子さんまだ勝手が分からなくて。私の方で対応しますね!」

 しかもリカは、営業所に戻ってきた男性社員に彼女の見えないところで、

「今日子さん、本社では仕事ができるって評判だったらしいですけど、営業所のことは何も分からないみたい。ミスが多くて…。でも、育児もあるし大変だと思うので、皆さんもフォローしてあげてくださいね!」

 と、ディスっていたのである。

勤務中に結婚式場探し
注意を受けて逆ギレ!

 ある朝、自席で朝食を取りながら、リカが会社の電話でどこかへかけていた。相手はどうやら先日結婚したリカの友人らしい。「ウェディングドレスはどのブランドにしたのか?」「引き出物は何がいいか?」などと相談しているようだった。

 ところが男性社員が出勤してくる姿を見るや、「あ、ごめん。また後でね」とそそくさと電話を切って慌ててパソコンに向かい、「おはようございまーす!」と満面の笑みを浮かべながら、男性社員に挨拶した。

 男性社員が営業に出払うと、今度は会社のパソコンで熱心に調べものを始めた。今日子がチラッと見ると、彼女は結婚式場を検索していたのだ。すると、リカが話しかけてきた。