• グローバル化の功罪

 エコノミストや政治家は、世界貿易の考え方を長年にわたって推進してきたが、そのペースが減速したり反転したりすることは歴史的にみて異例ではない。とはいえ、20世紀後半の貿易の急拡大によって、グローバル化は不可避的な力のように思えた。1950年から2007年にかけて、世界の貿易額は平均で年率6.2%増加し、世界の人口増加率の約4倍のペースで拡大した。輸送コストが低下し、メーカーは低コストの原材料を追い求め、サプライチェーンは長く複雑化した。

 グローバル化の当初は、先進国で雇用と賃金が着実に増加した。しかし、1980年代にメーカーが安い労働力を求めて先進国から逃避すると、状況は悪化した。1975年に、製造業は米国の国内総生産(GDP)の20%超、雇用の22%を占めていたが、現在の割合はわずか11%と9%だ。インフレを調整すると、一般労働者の所得は1970年代後半の水準にとどまっている。

 グローバル化の勝者に対する政治的反動は、トランプ大統領の就任やブレグジットではっきりと出た。各国は自国の雇用保護を目的に自立性を強めようとし、貿易に対する障壁を高めてきた。

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