「私には何もない…」多部未華子の原点は10歳で抱いた劣等感!?朝ドラ主演2人に“メンター”として伝えたいこと『風、薫る』第23回より 写真提供:NHK

朝ドラこと連続テレビ小説『風、薫る』(NHK)の主人公のりん(見上愛)と直美(上坂樹里)に大きな影響を与えるメンター的な役割である大山捨松役で出演している多部未華子さん。17年前、まだ十代のときに彼女自身が朝ドラの主人公を経験している。主人公を経て、主人公の先輩へ――。俳優としての歩みの結実が大山捨松の演技に発揮されている。捨松をどんな気持ちで演じているか、インタビューした。(聞き手・構成/ライター 木俣 冬)

憧れの存在・大山捨松は異彩でかっこいい

――出演のオファーがあったときどう感じましたか。

 大山捨松の役をいただいて、彼女の人生について、資料を読んで、これはやりがいのある役だと直感しました。実在した人物ですからその重みもありますし、彼女の生きてきた力強さみたいなものを演じられる楽しさが確実にあると感じたので、ぜひやってみたいと思いました。

――大山捨松はどういう人物と思い、演じるうえでどこを大事にしましたか。

 明治の激動の時代、性別に関係なく、自分自身がどうしていきたいかを一番に考えられるかっこいい人だなと感じました。とてもクレバーで、自分のやりたいことをかなえるために、何かを犠牲にしながらも、芯の部分はブレずに貫いた人。

 このドラマは大山捨松が主人公ではないので、詳しくは描かれませんが、明治時代に生きる女性としての葛藤や、家族との関わり方など、ドラマとは直接関係のない部分まで含めて、大山捨松は異彩でかっこよくて、憧れます。その“異質な存在”の部分を演じる場合、ともすればトゥーマッチになってリアリティを失ってしまう難しさもあります。そこは注意しながら、台本に忠実に演じることを意識しました。

※大山捨松とは…会津藩出身で、戊辰戦争にて敗戦を経験。11歳で岩倉使節団に同行しアメリカへ渡った。その際、「捨てて待つ」という親の思いをこめて「捨松」と改名した。帰国、戊辰戦争で敵対した薩摩藩出身の陸軍卿・大山巌と結婚。鹿鳴館で「鹿鳴館の華」として活躍しながら、社会のために尽力した。

――演じていて、難しいと思ったことはないですか。

 主人公の2人に影響を与えるという大事な役なので、責任は感じますが、難しくて困ったことはないです。彼女は出てくるたび、かっこいい台詞を言うんです。そこに捨松の持っている信念がこもっています。それは絶対に揺らがない、自分のやりたいこと、叶えたい思いがこもっていて、そこを大事にしています。