残業を削減する豊富残業を削減するのは意外と難しいことではありません(写真はイメージです) Photo:PIXTA
小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 4月1日から「働き方改革関連法」が順次施行されます。主なポイントは3つあり、それが(1)時間外労働の上限規制の導入、(2)有給休暇の確実な取得、(3)正規・非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止(2020年4月1日施行)です。

 中小企業基本法に基づく中小企業は(1)と(3)に関して1年間の猶予が与えられているとはいえ、頭を抱えている経営者は少なくないのではないでしょうか。

 特に(1)時間外労働の上限規制の導入は、悩ましい問題です。人手不足が深刻化し、新規採用がままならない中、従業員の残業によってなんとか仕事をこなしてきた企業が多いからです。

 実のところ、残業を単に減らすのはそれほど難しいことではありませんが、それでは仕事が回らなくなります。また、仕事をこなす人を増やすのもなかなか簡単なことではありません。だからこそ、経営者の発想の転換が必要なのです。

 一番先に考えなければならないのは、ムダな仕事をなくすことです。社員は自分が関わっている仕事にムダはないと思い込みがちですが、やっていることを見直すと、削減できることが見つかるはずです。

お客さまの満足に直接関わらない
「非付加価値活動」を徹底的に見直す

 ムダな仕事とムダではない仕事を見分けるのは、管理会計的な視点が有効です。管理会計では、お客さまの満足に直接関わる業務を「付加価値活動」、それ以外の業務を「非付加価値活動」と位置づけています。

 営業担当者が顧客を訪問したり、製造担当者が製品を製造したり、品質を向上させたりすることは付加価値活動、経理や総務のような間接業務は非付加価値活動です。間接業務のうち、重複している活動を削減したり、今、中小企業でも導入を進めているところも多いAIなどを活用したりして、業務の進め方を見直してコスト削減を徹底しても、お客さまの満足を低下させることはありません。