苦手な仕事
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拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べた。この第66回の講義では、「技術」に焦点を当て、拙著『人は、誰もが「多重人格」 − 誰も語らなかった「才能開花の技法」』(光文社新書)において述べたテーマを取り上げよう。

師匠から学ぶ時代には、師匠に似てくる

 前回まで、才能開花のためには、優れた人物を心の中で「師匠」と思い定め、その人物から学ぶ「私淑」の技法が重要であることを述べてきた。

 そして、昔から、師匠から学ぶときの心得として、「師匠とは、同じ部屋の空気を吸え」という言葉が語られてきたが、実際、筆者も新入社員の頃、優れた上司に巡り会い、この上司と毎日同じ部屋の空気を吸いながら、その「技術」や「心得」だけでなく、その背後にある「人格」を学ぶことができた。

 では、そうやって、上司から学んでいると、どのような変化が起こるのか。

「似てくる」のである。

 話し方が、そして、雰囲気が、その上司に似てくるのである。それは、ある意味で当然のことであろう。仕事を共にする中で、その上司の人格に似た人格が、自分の中から引き出されてくるので、話し方や雰囲気が似てくるのである。

 すなわち、どのような分野であっても、「弟子」が「師匠」から真剣に何かを学ぼう、何かを掴もうと思うならば、必ず、多かれ少なかれ、この「似てくる」という段階を通過する

 もとより、このように優れた師匠に「似てくる」ということは、決して悪いことではない。だが、ただ「似てくる」だけで終わるのでは、意味が無い。それでは、単に、優れた師匠の「ミニ・コピー」になってしまうだけである。

 すなわち、師匠に「似てくる」だけでは、本当の「人格の開花」や「才能の開花」とは呼べない。それゆえ、先ほど、筆者は、「『似てくる』という段階を通過する」と表現したのである。つまり、「似てくる段階」の先の段階があるのである。

 では、それは、どのような段階か。