都合の悪い史実は抹消
歪んでいるロシア人の歴史観

 こういう主張を聞くと筆者は、「ソ連は、日本がポツダム宣言受諾後に攻めてきたではないか」「ソ連が日ソ中立条約破棄を通告したのは1945年4月。失効は46年4月のはずではないか」などと反論した。

 するとロシアのインテリは、「あれは、1945年2月のヤルタ会談で米英とも合意していたこと」とか、「戦争はそんなものだ。日本はロシア(ソ連)を責めるが、日本だって真珠湾を奇襲したではないか」などと反論してくる。

 一般庶民についていえば、「日ソ中立条約破棄」「ポツダム宣言受諾後に日本を攻めた」など、ロシアにとって「都合の悪い真実」は知らない。もちろん「シベリア抑留」の話も知らない。

 ロシア国民は、「ソ連は絶対善」「ナチスドイツは、ソ連人を2000万人以上殺した絶対悪」「日本は、絶対悪ナチスドイツの同盟国」と教えられて育った。その「神話」の中では、ソ連のダークサイドは消されている。

 そういえば、「最も都合の悪い真実」は、第2次大戦を率いたソ連の指導者スターリンが、ヒトラーに匹敵するほど「極悪独裁者」だったことだろう。だから、ソ連崩壊後の戦勝記念日では、スターリンの存在が見事に消されている。「あれは私たちのおじいちゃん、おばあちゃんの勝利だ!」と言って祝うのだ。

 ロシアのガルージン駐日大使は、3月20日の講演で以下のように語っている。

<ガルージン氏は第2次世界大戦の結果、北方領土が合法的にロシア領になったとの主張が「ロシアの世論の受け止め方だ」とも主張。>(朝日新聞デジタル 2019年3月21日)

 これは、日本人には受け入れがたい主張である。しかし、戦後70年以上にわたって「神話」を刷り込まれてきたロシア国民が「普通に考えている」のは、まさに「これ」なのだ。