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中国政府は公式に危機管理モードに入っている。
先週開幕した全国人民代表大会(全人代)は、台本通りの進行となるのが常で、真のニュースは演説の場からは出てこなかった。それは、藍仏安財政相が開いた記者会見でもたらされた。藍氏は毅然(きぜん)とした態度を保とうと努めていたものの、その説明からは、政府が追い詰められている厳しい実態が浮き彫りになった。同氏は財政状況を「緊平衡(ぎりぎりのバランス)」と表現した。平たく言えば、カネが底を突きかけているということだ。
政府が大々的に掲げた数字は、力を誇示するように見えることを意図していた。過去最高の30兆元(約690兆円)の歳出と、12兆元近い新規国債の発行だ。だが実際のところ、エンジンからはすでに煙が上がっている。
異例の動きとして、中国政府は大手国有銀行の金庫を補充するためだけに3000億元を借り入れている。これは大きな危険信号だ。地方政府が抱える隠れ債務の山が大きくなりすぎて、国有銀行を道連れにしかねないことを示唆している。
藍氏は驚くほど率直だった。税収が落ち込んでいることを認め、財政省は「鉄公鶏(鉄のおんどり、ケチを表す中国語)」のように振る舞うと誓った。同氏は「一分銭を半分に割って使う」と約束し、政府の出張やパーティーの予算を7~10%削減するとした。
これは単なる標準的な引き締め以上のものだ。土地使用権の譲渡(かつて政府のドル箱だった)収入が急減し、経済が失速している今、あらゆる機関がわずかな支出に対してもその正当性を証明しなければならない。藍氏の論理は単純だ。政府が30兆元の予算をわずか1%効率化できれば、3000億元を節約できる。
中国政府の目には、緊縮財政こそが新たな成長と映る。
ウォール街の見方:経済への足かせ
藍氏はこの政策を「積極的」と呼ぶが、ウォール街は後退と見なしている。
ニューヨークを拠点とする22Vリサーチのアナリスト、マイケル・ハーソン氏は、銀行への緊急救済資金や債務スワップ(これらは実際には経済に新たな資金を投入しない)を除けば、政府の借入総額はわずか2300億元しか増えていないと指摘する。
これを大局的に見た場合、中国政府が経済を安定させるためだけでも、その約4倍の額を投入する必要がある、とアナリストらは口をそろえる。
結果として、政府予算は経済成長を助けるどころか、実際には「足かせ」となり、今年の中国の国内総生産(GDP)を実質的に約0.6%押し下げることになるとハーソン氏は指摘した。要するに、政府は景気刺激策として投入する以上に、慎重であるがゆえに経済から資金を引き揚げているということだ。







