次世代ガソリンエンジンで注目される
リーンバーン(希薄燃焼)
いま、次世代ガソリンエンジンの中でリーンバーン(希薄燃焼)が注目されている。エンジンが吸い込む空気量は従来のままにして、投入するガソリンの量を極限まで減らして薄い混合気を作り、これを素早く燃やして燃費を向上させる技術である。自動車メーカーやエンジニアリング会社、研究機関などでさまざまな方法が開発されている。その最前線を紹介しよう。
まず、リーンとは“どれくらい薄い”混合気なのか。通常のガソリンエンジンは理論空燃比(ストイキオメトリー=略してストイキ)で燃焼している。この混合比は燃料1gに対し空気14.7gだ。体積でいうと、10リットルの空気に角砂糖1個の燃料程度の比率になる。これは、ガソリン1gに含まれるC(炭素)とH(水素)をすべて燃焼させてエネルギーを取り出し、同時に空気中のO(酸素)を使いきってCO(炭化水素)とNO(窒素酸化物)といった有害物質を発生させない“最適バランス量”である。この比率をラムダ=1の空燃比と呼ぶ。