マツダが内燃機関の進化にこだわりつつトヨタとも提携する理由Photo:TOYOTA

 トヨタ自動車との資本提携を8月4日に発表したばかりのマツダの小飼雅道社長兼CEOは8日、2030年を見据えた技術開発の長期ビジョン「サスティナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を発表した。その中で注目されたのが「内燃機関の徹底的な理想追求により、世界No.1の次世代ガソリンエンジンの商品化にメドがつき2019年に市場に投入する」という発表である。

 世界的に電気自動車(EV)の普及が進む中、マツダが今回開発した次世代エンジンは、ガソリンを燃料としてディーゼルのように「圧縮着火」させる燃料方式で、「SKYACTIV-X」と名付けられた。

 これまでマツダは、2007年に発表した「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」に基づき、「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」の両立に取り組んできた。だが今般、世界の自動車業界を取り巻く環境の激変を踏まえ、クルマの持つ魅力「走る歓び」で、「地球」「社会」「人」それぞれの課題解決を目指す新たな挑戦として「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を策定したのである。

 その宣言の中で温室効果ガス削減に向け、クルマのライフサイクルを視野において「Well-to-Wheel(燃料採掘から車両走行まで)」の考え方に基づき、CO2の排出量について2030年までに2010年と比べ50%減の目標を掲げている。

 その理由は、EVに転換しても、電気を発電する上でCO2が発生するという問題だ。そのためマツダとしては、燃費改善とエミッションのクリーン化の効果を狙った内燃機関を活かすこと、CO2を極限まで削減する経営方針を打ち出している。

次世代エンジン
SKYACTIV-Xとは

 マツダが次世代エンジンとして商品化にメドをつけたSKYACTIV-Xは、ガソリンエンジンにおける圧縮着火を世界で初めて実用化したもの。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの特徴を融合したマツダ独自の内燃機関であり、優れた環境性能と出力・動力性能を両立させた画期的なエンジンである。