自分の自由を大事にするから、他者の自由も大事にできる
本田 思えば、初めてお会いしてからまだ1年経っていないですね。
キム あるレストランで別々に共通の知り合いと食事をしていて、紹介をされて。2、3分だったんですけど、僕の中ではピンと来るものがありました。だから、その日のうちに連絡を取って、翌日に時間をもらって。
本田 2時間くらい話しましたね。食事をしながらというわけでもないのに、あそこまで盛り上がるのは珍しかった(笑)。
キム 僕はもう恋に落ちたみたいな感じでしたよ(笑)。最初から、形式的な話は一切なくて、人生とか自由とか、いきなり本質的な話ができた。
本田 波長が合いましたね。
キム しなやかさと強さがある。本田さんを見ていて、そう感じました。しかも、その強さを見せびらかさない。そのままぶつけない。何にも縛られなくて、先入観を一切持たずに、何にもとらわれない。水のような柔軟性がある。自分の内面の中で自由というものを追求しているから、自分が考えている正解を押しつけようともしない。
自分自身の自由をものすごく大事にしているから、他者の自由もものすごく大事にするんですね。それは、本田さんがちゃんとしたプロセスの中から自分の自由を生み出せてきたからだと思うんです。
本田 キムさんが大学時代の先生だったら、僕はもっと早くより自信を持って自分を貫けたかもしれない(笑)。僕の中ですごく大事なのは、自分がこうしたいと思ったことに対して、制約を持たずにいることなんです。それが、僕にとっての自由なんです。すぐにできないにしても、そこに向かっていく努力をしていこうと。
『媚びない人生』にもありましたよね、目的地がない舟には、どんな風も順風になることはない、って。そういう思いをちゃんと持ってキムさんの本を読んだら、より強い思いで人生に立ち向かえる。この本を若くして手にできる、今の若い人がうらやましいですよ。