自由に生きる方法が、体系的に語られている

本田 僕は、やっぱり自由であることが、一番大事なことだと思っています。自分も自由でいたいし、他者にも自由であってほしい。

 実は10年くらい前、上場企業の常務として会社を経営していたときには、部下に対して「こうするべきだ」「こうしたほうがいい」と思っていた時期もあったんです。相手を変えてあげることが、正しいことだ、と。混乱の極みにあったベンチャーを、上場企業にまで持って行くには、そういうこともすべきだと思ってた。

 でも、ビジネス面では正しかったかもしれないけど、みんなの人生を考えたら、価値観を無理に変えることはやっぱりできないな、と思ったんです。本人が望まないとするなら、自由じゃなくてもいいわけですよ。むしろ、自由がつらい人もいる。自由だとどうしていいかわかんなくなっちゃう人もいる。それよりも、会社の中で、ああしろ、こうしろ、と言われているほうがいい人もいるわけです。

 相手を変えようとか、こうさせようというのを無理にするのは、やっぱり違う、ということをそのときにはっきり学んだんです。だから、僕は自分の本でも「こうしたほうがいいよ」ということは、言わない。「こういうやり方がありますよ」という提案はするけれど、「こうしないとまずいよ」とは言わない。

『媚びない人生』を読んで人にプレゼントしたくなっちゃったのは、きっとそういう気づきが得られると思ったから。「これで良かったんだ」でもいいし、「こうすれば良かった」でもいい。そうすることで、次の道が開けていく。次の道につなげていくことができる。

 発売前から大変な話題になったのは、やっぱり今の時代に求められていたからだと思います。予約中なのに、amazonで20位を付けたでしょう。あんなに盛り上がったのは、これまでに見たことがない。

キム 僕もびっくりしました(笑)。

本田 僕たちも、自分たちの考え方を大学生に話をする機会もあるんですが、やっぱり僕ら流になっちゃうんですよね。そういうことを知ってもらいたいという気持ちはあるんですけど、うまく伝えるのは簡単なことではない。大学で教えているキムさんが、同じような発想を持っていて、しかも自分なりの経験の中からそれを導きだして学生に伝えているというのは、すごくうれしかった。

 しかも、自分がこうしたいと思うことに対して自由に生きるためには準備と努力が必要だ、ということも、キムさんはものすごく体系的に考えて語れるじゃないですか。これは、教育に携わられているからこそ、です。

 実際には学校という既存の権威で教える立場で、そういうことを考えたり語ったりするのは、なかなか簡単なことではないと思う。それを果敢にやられているのは、凄いことだと思います。

キム こうすればいい、という正解はなくなりました。でも、正しく考える方法論はちゃんとある。そのプロセスを歩むのは苦しいことだけれど、とても大事なことです。僕はそう信じている。それを多くの若い人に知ってほしいんです。


 

 

たちよみページあります!

※次回配信予定は7月3日(火)です。


■『媚びない人生』ダイヤモンド著者セミナー
著者ジョン・キム氏による刊行記念無料セミナーのお知らせ

日 時:2012年7月25日(水)19時開演(18時30分開場)20時30分終了予定
会 場:東京・原宿 ダイヤモンド社9階セミナールーム
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料 金:無料(事前登録制)
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定価:1,365円(税込)
四六判・並製・256頁 ISBN978-4-478-01769-2

◆ジョン・キム『媚びない人生
「自分に誇りを持ち、自分を信じ、自分らしく、媚びない人生を生きていって欲しい。そのために必要なのは、まず何よりも内面的な強さなのだ」

将来に対する漠然とした不安を感じる者たちに対して、今この瞬間から内面的な革命を起こし、人生を支える真の自由を手に入れるための考え方や行動指針を提示したのが本書『媚びない人生』です。韓国から日本へ国費留学し、アジア、アメリカ、ヨーロッパ等、3大陸5ヵ国を渡り歩き、使う言葉も専門性も変えていった著者。その経験からくる独自の哲学や生き方論が心を揺さぶられます。

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定価:1,470円(税込)
四六判・並製・192頁 ISBN978-4-478-014707

◆本田直之『LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。
北欧諸国があらゆる「幸福度ランキング」で上位を占めているのはなぜか。世界的に見ても豊かなはずの日本が、どうして81位なのか――。
ハワイをベースにノマドライフを実践する本田直之が幸福度ランキングトップの北欧(デンマーク、スウェーデン、フィンランド)の人たちと幸福について語り合って得た、確信。

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