JT たばこ事業本部 R&Dグループ 開発責任者の山田 学氏山田 学(JT たばこ事業本部 R&Dグループ 開発責任者) Photo by Kazutoshi Sumitomo

 加熱式たばこの普及が進んで久しい。火を使わない加熱式たばこは、紙巻きたばこに比べにおいや有害物質が少ないといった特徴があり、今やたばこ市場で21%のシェアを占めるまでに成長している。

 だが、たばこ国内最大手のJTは、長らく加熱式たばこで他社の後塵を拝す。製品展開の遅れなどが要因だ。今年2月、起死回生の一手として、満を持して新商品を発売した。それが「プルーム・テック・プラス」である。

 東京都墨田区にあるJTの研究所には、加熱式たばこの研究を古くから引っ張り続けた男がいる。

 山田学、50歳。普段は作業着を身にまとい、商品開発から基礎研究、時には製造との折衝を重ねるなど、軽いフットワークで技術関連のあらゆる部署に顔を出す。

 社内で“熱血部長”の異名を取り部下から慕われる山田は、社内の生き字引のような存在だ。その歩んできた道は、JTの次世代たばこの歴史そのものでもある。

 山田がJTに入社したのは、1993年のこと。

 大学で機械工学を学んだ「ガンダム世代」の山田は、ものづくりへの熱い思いを抱く中、当時新規事業が盛んだったJTで一般産業機械を扱う部門に配属された。やがてJTが産業機械から撤退した後、山田は紙巻きたばこの製造機械の開発や研究開発の企画を担うなど、部署を転々としてきた。