当初は、初めての経営に意気込んで事業計画を作り、計画通りに進めようと部下に指示・命令し続けていた。しかし、頑張ってもなかなか成果につながらない。1年ほど赤字が続き、「このやり方ではうまくいかないのではないか」と気づいたのが、今の「管理ゼロ」に至るきっかけだった。

ソニックガーデン・倉貫義人社長ソニックガーデン・倉貫義人社長 Photo:DOL

「やりたいことをやろうと始めたはずなのに、ちっとも楽しくない。辛いなと思って、半ばやけくそに管理を外していったらうまくいったんです(笑)」(倉貫社長)

 前職の社内ベンチャーもソニックガーデンも、再現性のないクリエイティブな仕事がメイン。つまり、昨日と今日で異なる仕事が求められる中で、「部下を管理するより、社員それぞれが自律して、最も彼らに合った仕事の仕方をさせたほうが生産性や成果が上がる。結果として、管理をやめて成果を上げることだけに集中しよう」(倉貫社長)という結論に至った。

「管理しない」とはすなわち、セルフマネジメントができること。「社員全員が管理職」の状態になることだ。自分でどんな仕事をするか、どれくらいリソースを使うか、どう仕事を進めるか、すべて社員が自分で考えることができれば、管理ゼロの組織は作れる。

 しかし、社員にセルフマネジメント能力がないまま、やみくもに管理ゼロの状態を作っても、組織は崩壊するだけ。そこでソニックガーデンでは、3つのステップを踏んで「管理ゼロ」の状態を作り上げていったという。

頑張らずに生産性を上げる方法
「見直し」「雑談」がカギ

 まず重要視したのは、「成果を出せる生産性の高いチーム」を作ること。頑張らずに生産性を上げるために重視したのが、「見直す」ことだった。

『木こりのジレンマ』の話をご存じだろうか。刃こぼれした斧で一生懸命に木を切っている木こりに「斧を研いだらどうか」とアドバイスしたところ、「木を切るのに忙しくて斧を研ぐ暇はない」と答えたという逸話だ。