これを聞いて「そんなバカな」と笑うかもしれないが、実際にこうした状態に陥っている人や組織は多い。しかし、それではいつまでたっても今の不合理な仕組みが見直されず、いつまでたっても生産性は向上しない。

 そこでソニックガーデンでは、仕事の見直しを行う「ふりかえり」の時間を定期的に取り、やり方の見直しなど抜本的な問題解決策を考えて生産性の向上を目指した。ここでの最大のポイントは、「ふりかえり」の“仕組み化”だ。

「『ふりかえり』の時間は大事だと理解しても、実際にできる人は多くありません。『ふりかえりをするぞ!』と決意してできるほど、人は精神論で動けないのです。ですから、スケジュール帳に毎週1時間、例えば『金曜日16時からは、ふりかえりの時間』と決めることが大切。そうすればいつの間にか癖になり、あえて時間を取らなくてもふりかえりができるようになります」(倉貫社長)

 生産性を上げるためにもう1つ重要視したのが、社内の円滑なコミュニケーションだ。リモートワークを行う社員が多いなかで、いかに気軽にコミュニケーションを取れるかを考え、冒頭でも触れたバーチャルオフィス内にあるチャットツールに工夫を凝らした。

 特に倉貫社長が重視したのが「雑談しやすい雰囲気」。ポイントは、(1)雑談と仕事の話が(チャットツールの)同じ場所でできて、(2)社内の雑談をすべて“見える化”し、(3)チームごとに定期的に雑談する機会を作ることの3つだった。

ソニックガーデンのバーチャルオフィスソニックガーデンのバーチャルオフィス。気軽な雑談もしやすい雰囲気がある 拡大画像表示

「仕事の基本として『報連相』がありますが、私はそのなかでも『相談』が一番大事で、なおかつハードルが高いと思っています。でも、普段から何てことない雑談をしていれば相談もしやすくなる。だからこそ、相談と雑談を分けない『ザッソウ(雑相)』ができる雰囲気を作ったんです」(倉貫社長)

 実際に、定期的な「ふりかえり」の時間を雑談も交えながら行うために、オンラインでランチを一緒にしながらミーティングするチームもあるそうだ。

「リモートワークをすると失敗する、孤立するという会社もありますが、それは職場がもともとギスギスしていて、離れて働くことで問題が表面化しただけ。だからこそ、普段から社内で安心して何でも話せる雰囲気、つまり“心理的安全性”が高い状態を作ることが大切です」(倉貫社長)