全7回で、世界トップクラスの海外企業の英語決算書を読み解いて深い話ができるようになろうというこの特集。第1~3回は「GAFA」「BAT」と呼ばれる米国と中国のIT巨人を題材に、「財務3表」のエッセンスをお届けします。この第2回のテーマは貸借対照表(BS)です。ぜひ第1回の損益計算書(PL)、第3回のキャッシュフロー計算書(CF)とセットでご覧ください。(ダイヤモンド編集部副編集長 鈴木崇久)
企業の「軍備」と「軍資金」が
見えてくるのが BSの魅力
特集第1回に続いて、米国と中国の基幹産業であるIT業界から各国の代表選手に登場してもらい、米中ビジネス覇権の行方を彼らの決算書を見ながら追い掛けていきましょう。
第1回と同じく、米国代表はGoogle(グーグル)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)の4社。通称「GAFA」です。
一方、中国代表はBaidu(バイドゥ、百度)、Alibaba Group Holding(アリババ集団、阿里巴巴集団)、Tencent Holdings(テンセントホールディングス、騰訊控股)の3社。こちらは「BAT」と呼ばれています。
第1回はGAFA・BAT全7社の損益計算書(PL)の数字を見ながら収益力を比べてみました。第2回となる今回は、貸借対照表(Balance Sheets、BS)の視点から7社を見比べてみましょう。
いくらもうかったかという多くの人にとって身近なことが分かるPLと比べて、BSは少しややこしくて、つまずく人も多い決算書です。財務分析のプロフェッショナルたちからは「上場企業の経営者ですら、BSをきちんと理解できない人がいる」という嘆きの声が上がるほどです。
しかし、及び腰になることはありません。PLのときと同じように、細かなことは無視してざっくりと分かればひとまずOKです。
それに、BSは経営戦略を映す鏡みたいなもの。どんな持ち物でビジネスを戦っているのかという「軍備」と、その「軍資金」をどうやって調達したのかが分かってしまうんです。ちょっとワクワクしませんか?